駄目人間草子

主にポケモン、ライバルズなど

【ポケモンSVシングル】 S15使用構築 最終566位 レート2002.408 海月毒展開

【はじめに】

ガチクラゲはどちらだ?

【構築経緯】

ドククラゲを使いたい。しかしこのポケモンはお世辞にも性能の高い何かがあるわけではないように見える。一方で多くの偉い要素があるようには見えた。具体的には個別解説で述べるが、それらを考慮すると、毒撒きによる展開役としての役割が適任だと考えた。
展開役は、展開を作ることが仕事なので、特定のポケモンに勝つとか負けるとか、そういうことは強さに関係ない。そんな役割理論的な考えに固執すると、ポケモンの活躍の機会を見過ごすことになるだろう。ドククラゲを何かに勝たせようとするとおそらく上手くいかないが、毒展開を作るだけなら十分な強さを持っていた。
ドヒドイデと同じタイプであることに着目し、ドヒドイデ+ディンルーという並びを展開に寄せた構築として、以下のようなものを考えた。昆布構築である。

この構築を使っているうちに一つの重大な事実に気付いた。それはステルスロックやまきびしと強制交代はコンボでも、どくびしと強制交代は非コンボである”ということである。
ステルスロックとまきびしは、相手が交代するたびにダメージが入るが、どくびしはそうではなく、相手が交代するとどく状態になるというだけだ。そしてこのどくダメージは、ターン終了時に発生するもので、交代していたかどうかに関わらない。つまりどくびしは、相手の交代回数に関わらず、一定のバリューを出す撒き技なのだ。ねばねばネットもこれに該当すると言える。ドヒドイデ+ディンルーは、ドヒドイデの「どくびし」とディンルーの「ふきとばし」の相性が良いから強いのではなく、別の様々な要因があるのだろう。するとドククラゲとディンルーを組ませる意味はあまりないようだ。大体、この構築を使っていたとき、ディンルーは独りでポケモンバトルをしていた。彼はソリストなのだ。
ではどくびしと真に相性が良いのは何だろうか。それはドビー(今日をドブに捨てる者)である。ドビーは、相手の攻撃に回復技を連打するなどして、サイクル状態を進めず、徒に時を過ごす。これだけで勝つことはTODを除いて叶わないが、相手をどく状態にした後という条件を加えれば可能となる。どくびしはたった一手で複数体のポケモンをどく状態にできるため、どくびしとドビーは相性が良いと言える。
これを踏まえて、新たに構築を組もう。まずはドククラゲと相性の良いドビーとして、ブラッキーを採用した。このポケモンドククラゲとの相性補完に優れており、「ねがいごと」+「まもる」で32ターンもの時を止めることができる生粋のドビーである。ドククラゲがみずタイプである以上、以降採用しづらくなるであろうみずタイプに代わって、パオジアンの対策ができるのも魅力である。
毒展開で困るのは当然、どく状態にならないどくタイプやはがねタイプである。これらに打点の持てるじめんタイプで、いかとんで「ステルスロック」を撒けるなどサイクル性能が高い霊獣ランドロスを採用した。
どくびしと「アンコール」カイリューは相性が良いことを知っていたため、採用。かんちゃろーに「じゃくてんほけん」が強いと教えてもらったので試したところ、実際に強かった。
カイリューとの相性補完や選出画面での圧力を考慮し、サーフゴーを採用。いくつか型を試したがHBの「でんじは」「たたりめ」型が毒とも相性が良く強いことに気付いた。
受け崩しとして、前構築でも採用していたトドロクツキを採用。「ステルスロック」や「どくびし」を合わせることで受けの対策となる。(後述)
以上で構築が完成した。

【個別解説】

[調整意図]

HSぶっぱ。

[解説]

毒撒き。それ自体を戦略にできる強力な撒き技「どくびし」に加え、「どくどく」も覚えるため、毒展開の始動ができる。
そこそこのすばやさと耐久を両立しており、みず・どくという優秀なタイプにより、水ウーラオスにテンポを取られない点が偉かった。「すいりゅうれんだ」が半減であることから、「きあいのタスキ」により確実な展開が期待できる。
残りの技は、荒らし性能をさらに上げる今作最強技の「はたきおとす」と、特殊アタッカーを潰せる「ミラーコート」とした。「ミラーコート」は初手の特殊アタッカーを「どくびし」より優先して処理したいときに使用したほか、奇跡的にドククラゲを裏に残せた際に、どうしようもなくなった「わるだくみ」サーフゴーや「めいそう」ラティオスなどを処理するのにも使えた。
ちなみにこの技構成を実現できるのはドーブルを除くとドククラゲとリククラゲのみであり、リククラゲはとんでもない特性を持つエンジョイクラなので、このポケモンガチクラゲであることは疑うべくもない。
「ヘドロえき」によってオーガポンの「ウッドホーン」やウーラオスの「ドレインパンチ」などによる”回復しながらの突破”を許さない。オーガポンやチオンジェンの「やどりぎのタネ」にも抵抗できる。
テラスタイプのフェアリーは一度だけ残りHP僅かのカイリューの「スケイルショット」を透かして「はたきおとす」で屠るために使用した。「ミラーコート」を考えた逆テラスなども一考。

[調整意図]

HB...特化。
S...無振りハッサム抜き。

[解説]

マジドビー。凡ドビーは8ターンしか時を止めることができないが、このポケモンは32ターン止めることができる。
本構築は毒を軸にしているため、「あくび」ではなく「どくどく」を採用し、ブラッキーでも毒を撒けるようにした。
「ねがいごと」+「まもる」は通常の回復技と比較して、PPの多さに加え、相手を突破するターンの終了時に回復することで、裏に対してもHPを残しやすい点が魅力であった。また「まもる」を自然に採用できることで、「たべのこし」による耐久値の底上げ、こだわりロック、「ブラッドムーン」透かしなどができ、立ち回りが安定した。反面ウーラオスに弱いが、ウーラオスには基本的にサーフゴーで勝てるし、「パンチグローブ」ならば「まもる」を貫通されない。
テラスタイプはウーラオスやパオジアン、カイリューを意識したフェアリー。切った後もサイクルが回しやすく、「こだわりハチマキ」カイリューの「げきりん」に切り返す動きが強力だった。
パオジアン対策にこのポケモンをチョイスしたことが、今期勝てた要因である気がした。「せいしんりょく」によって「つららおとし」怯みによる運負けを拒否しながら、外しによる運勝ちを狙えるのが大きい。また、パオジアン対策にみずタイプを採用すると、でんき「テラバースト」で瓦解しかねないが、ブラッキーはそのような問題がない。今期は特にでんきパオジアンが多かった印象である。「ぜったいれいど」も絶望的に回数を稼がれるほどではない。

[調整意図]

きのどくさんの調整を参照。

[解説]

じめん枠。どくやはがねにプレッシャーをかける。
ステルスロック」や「いかく」、「とんぼがえり」などの要素が欲しく、じめんタイプの中でもこのポケモンを採用した。テラスタル無しでもハバタクカミに比較的強く、「アンコール」「はねやすめ」系のカイリューに対してこちらのカイリューとのサイクルで対応できるのも偉かった。この際に「がんせきふうじ」によってこちらのカイリューで上から「アンコール」しにいくことができる。
また受け系統のパーティの崩しに「ステルスロック」が強く、グライオンに対して後攻「とんぼがえり」からトドロクツキを安着できるのが強力だった。
テラスタイプはハバタクカミやパオジアン意識、カイリューとの補完に優れるはがね。

[調整意図]

A…特化。
H…奇数最大。
余り...B

[解説]

凡ドビー。どくびしを組み合わせることで本来勝つことが難しいガチグマや「あまえる」「いたみわけ」ハバタクカミにまで勝てるようになる。
「アンコール」「はねやすめ」カイリューの中でも今回はノーマルテラスタルしんそく」「じしん」カイリューを採用した。毒ダメージで「しんそく」圏内まで削るという動きが成立しやすいほか、「じしん」でこのポケモンでもランドロスのようにどくやはがねに対して圧力をかけることができる。
じゃくてんほけん」により、ウーラオスのこおり技やハバタクカミの「ムーンフォース」を相手から見えない勝ち筋とすることができる。特にハバタクカミに対して不利展開から捲ることができるのが大きかった。ハバタクカミ入りに対して、ドククラゲブラッキーカイリューという選出が成立する(ランドロスを強要されない)など、選出の自由度も上がった。
単体性能が高く中盤まではよく選出していたポケモンだが、この構築の真に強い選出に気付いてからは出すことが減った。

[調整意図]

S...無振りブリジュラス抜き。
余り...HB

[解説]

最強だった。このポケモンの強さに気付いてから勝率が跳ね上がった。
サーフゴー自体は選出圧力が高く、絶対に構築から抜きたくはないポケモンだと元々考えてはいたが、強い型を見つけるのに苦労した。そしてこのHB「ゴツゴツメット」「でんじは」「たたりめ」が最も強いことに気付いたのは、ドククラゲブラッキー+サーフゴーという選出の強さに気付いたのがきっかけである。
物理受け2枚と一見パワーのない選出(林サイクル)に見えるが、毒の存在によりこのサーフゴーが「たたりめ」により継続的な火力を出すことができるため、サイクルの攻略が可能である。物理はブラッキー+サーフゴーでほとんど見ることができるし、特殊はドククラゲで「ミラーコート」で処理するか、毒を入れてドビー(ブラッキーもサーフゴーもDも低くないため十分可能)で対応できる。ブラッキーの「まもる」によるこだわりロックや「イカサマ」による積みの拒否、「ねがいごと」置きによる様子見、「おうごんのからだ」による補助技拒否などによって、この2匹で非常に安定したサイクルを回すことができる。毒が林を山にした。※わるだくみ系のサーフゴーが重いが、これに対してはどう選出しても無理なため割り切った。
テラスタイプはウーラオスやパオジアン意識、弱点も少ないみずとした。

[調整意図]

S...最速グライオン抜き。
余り...HB

[解説]

受け破壊枠。ほぼ全てのキョジオーン、ママングライ、受けループを破壊した。
上からの「ちょうはつ」によって回復技を撃たせないことにより、これらを崩すことができる。「はたきおとす」によって相手の「たべのこし」や「あつぞこブーツ」をなくすことができるため、ランドロスの「ステルスロック」と併せることで無限のサイクルを許さない。耐久が高く「おんみつマント」を持っているため、低火力の受けポケモンからの負担がないに等しい。「はねやすめ」で受けきることができる。グライオンは「ちょうはつ」を入れられても回復することが可能だが、ひこうテラスタルによってトドロクツキに対し0点となるため、結局交代を強いることができ、裏から壊れる。ひこうテラスタルはヘイラッシャの「じわれ」やドヒドイデの「どくびし」の対策でもある。
今期のキョジオーンは「のろい」型が多く、「ボディプレス」型がほぼ居なかったこと及び、キョジオーン対策でありながらキョジオーン対策(サーフゴー)対策であるイーユイに滅法強く、汎用性も普通程度にあるため選出択にならないことから、対キョジオーンは安定した。
「はたきおとす」「はねやすめ」「ちょうはつ」で役割は完結しているため、残り1つの技は自由だが、今回は「りゅうのまい」とした。シンプルに汎用性が上がり、崩しも速くなる。途中まで使用していた「ドラゴンテール」も強いシーンはあった。

【選出・立ち回り】

基本選出は先述のとおりドククラゲブラッキー+サーフゴーだが相手による。個別解説を参照。

【おわりに】

展開要素は組み合わさっているとはいえ、久しぶりに対話するサイクル構築を使いました。サイクルの腕がまだ衰えていなくてよかったです。ここまで読んでくださってありがとうございました。